昨今、全国において、有機フッ素化合物、いわゆる「PFAS(ピーファス)」の問題が話題となっています。私も最近、飲食店や環境団体の方などから、「柏市は大丈夫なの?」と聞かれることが多くなりました。「そもそもそんな言葉は聞いたことがない」という方もいらっしゃるかもしれません。松本いずみは、経済産業省時代に、主要な政策分野の一つとして環境・エネルギー政策に取り組んでいたほか、弁護士になってからもこの問題を扱ったことがありますので、環境問題には知識・経験を持っています。そこで、今回はこのPFASの問題について簡単に述べてみたいと思います。

まず、「有機フッ素化合物(PFAS)」とは、炭素とフッ素が結合した一定の有機化合物の総称で、1万種類以上の物質があると言われています。そのうちの一つである「PFOS(ピーフォス)」や「PFOA(ピーフォア)」は、水や油をはじき、熱や薬品に
強いといった特性を持つため、これまで消火器の泡消火剤や撥水剤、半導体の反射防止剤、フライパンのコーティングなど、様々な用途で使われてきました。

PFASは、本来自然界には存在しない物質であり、自然環境の中では簡単には分解されないことから、「永遠の化学物質」と呼ばれることもあります。人体に入った場合の健康への影響については国際的にも科学的知見が十分ではなく、分からないことが多いものの、土壌や水質中、あるいは人体に長期間蓄積する傾向があることから、国内では化審法により、製造・輸入等が原則禁止されています(PFOSは平成22年(2010年)以降、PFOAは令和3年(2021年)以降)。

PFASが人体に及ぼす影響については不明確なことが多いため、現時点では、排出水中でその割合を一定水準以下にすべきという、いわゆる水質汚濁防止法に基づく「排水基準」は定められていませんが、あくまで法的拘束力のない目安の指針値として、環境省により、公共用水域及び地下水において、「1リットルあたり50ナノグラム(50ng/L、PFOSとPFOAの合計値)」という暫定指針値が定められています。ただし、この「50ng/L」という数字を超えたからといって直ちに健康への悪影響があるというわけではなく、これはあくまで「体重50kgの人が、1日当たり2Lの水を一生涯にわたり摂取しても健康に対する有害な影響が現れないと考えられる値」だと位置付けられています。

要は、現時点では、PFASの人体への影響については分かっていることが少なく、そのため規制は導入されていないものの、安全・安心の観点から、あくまで一つの目安として「50ng/L」を超えないようにしましょう、ということが国により定められています。

柏市においては、令和3年から本年にかけて国・県・市が実施した複数の調査において、公共用水域については、下手賀沼中央や金山落の名内橋において「50ng/L」を超える値が検出されています。また、地下水についても、上記暫定指針値を超過した水路周辺(概ね200メートル)の井戸のいくつかにおいて、「50ng/L」を超える値が検出されました。繰り返しになりますが、この値を超えたからといって必ずしも人体に悪影響があるとは言い切れず、あくまで目安である点にご留意頂ければと思います。

他方、今年の6月、8月、11月の3度に渡って行われた柏市内の水道水の水質検査においては、全ての水源地及び管末給水栓において、50ng/Lを遥かに下回る5ng/L以下の値が測定されています。

松本いずみはこの問題について、次のように考えています。まず、PFASが人体に及ぼす影響については不明確なことが多いものの、人の健康に関する問題は国民の「安全・安心」に関わるものであり、安全サイドに立って予防的に対応することが重要です。そのため、仮に現時点では科学的知見が明らかではないとしても、安全策をとって、「50ng/L」を超える値が検出された地下水をくみ上げる井戸水は使用しないようにすることが重要です。前述の通り、柏市内の水道水は安心してお使い頂ける状態であるほか、柏市においては、令和6年10月15日(火)~令和7年2月28日(金)までの間、一定の要件を満たす方に対して、浄水器やウォーターサーバーの設置の補助申請も受け付けておりますので、対象となりうる方は是非ご検討頂けますと幸いです。加えて、こうした補助金で対応が十分かどうかについても、引き続き検証していきたいと考えています。

https://www.city.kashiwa.lg.jp/kankyoseisaku/ecosite/suishitsudojo/suishitsu/4511.html

また、市民の皆様のご不安を解消するため、国・県・市の責任で、更なる追加調査を実施すべきだと考えています。その上で、しっかりとした知見の集積に努めた後、速やかに規制導入を始めとする追加の対応を検討すべきだと考えています。

繰り返しになりますが、国民の「安全・安心」に関わる問題については、安全サイドに立ってできる限り速やかに対応することが非常に重要です。松本いずみは、地元の県議・市議の方々と一緒になって、この問題についてしっかりとした対応を進めていきたいと考えています。