最近は政治に関する投稿が多かったことから、今回は久々の政策編ということで、6月30日に公開しました「物価高対策について①」の続きとして、日本経済の成長力を強化するための中長期の経済改革について述べてみたいと思います。

松本いずみは、物価高を最終的に克服するためには、目の前の物価高の影響を受ける家計の皆様方への支援策、つまり短期の経済対策(消費減税を含みます)だけでは足りず、日本の経済成長率を引き上げる中長期の経済改革が必要だと考えています。

過去30年間(1995年~2024年)の日本の実質GDP成長率の平均は約0.8%で、実質賃金の伸びに至ってはバブル崩壊後の1991年~2023年で年率0.0%でした。前回のブログでも述べましたように、インフレの影響を除くと賃金は全く増えていません。そのため、これまで「賃金が増えないためGDPの6割を占める消費も伸びず、経済成長も低迷する」という悪循環が続いてきました。

松本いずみは、こうした悪循環を断ち切るためには、0.6%程度で低迷する日本の「潜在成長率」、つまり日本が中長期的に実現することができる経済成長率を引き上げ、賃金が物価を上回って持続的に増えていく経済構造をつくることが必要だと考えています。そして、そのためには、短期の経済対策で生活をお支えしながら、日本の中長期の経済成長を構成する3つの要素、すなわち、①最新の機械・設備やソフトウェアといった「資本」を増やす、②「労働力」を確保する、③「生産性」を引き上げる、といった経済改革に取り組む必要があると考えています。

(出典:経済産業省「経済産業政策新機軸部会 第4次中間整理 参考資料集」4頁(令和7年6月))

①資本を増加させるための改革

下記の経産省の資料にもあるように、企業の経常利益は2023年度に64兆円と、過去最高水準になっています。企業の内部留保に課税すべきだいう意見もありますが、自由主義経済において稼いだお金をどのように使うか、そもそも使うか否かは企業や個人の自由であり、内部留保に課税することはこうした原則に反するため適切ではないと考えています。むしろ、企業が抱えるお金を経済全体に回していく仕組みをつくることが重要です。そのため、松本いずみは、企業の設備投資を促すための大胆な税制優遇措置(設備投資費用の全額を初年度に減価償却費として計上する「即時償却」の導入、設備投資の一定割合を法人税から差し引く「税額控除」の創設など)を設けて、経済全体の資本の増加と生産性向上の両者を実現すべきだと考えています。

(出典:経済産業省「経済産業政策新機軸部会 第4次中間整理 参考資料集」11頁(令和7年6月))

②労働力を確保するための改革

また、企業の人手不足も深刻です。主に高齢者と女性の労働参加が増えたことにより、2024年の就業者数は6,781万人と過去最高となっています。他方、一人当たりの労働時間は減少を続けており、米国やカナダ、イタリアなどよりも短くなっています。働き方改革をこれからも進めていきつつも、経済全体で必要な労働力(労働時間×就業者数)を確保するため、働きたい方がもっと長い時間働けるような残業規制の柔軟化や、非正規雇用の正規雇用化の強力な促進、定年制の廃止といった、雇用制度や労働市場の抜本改革に踏み込むべきだと考えています。

(出典:総務省統計局「労働力調査(基本集計) 2024年(令和6年)平均結果の概要」4頁)

(出典:小方尚子「減少するわが国の平均労働時間」3頁(令和7年9月))

③生産性を引き上げるための改革

 生産性向上は、賃金が持続的に増加していくための最大の鍵です。そのため、①で述べた企業の設備投資を促す税制優遇措置の創設に加え、政府による大規模投資や規制緩和、支援措置の拡充などを通じて、AI、デジタル、バイオ、宇宙、ヘルスケアといった、これからの日本の経済成長をけん引していく新しい産業を次々と起こし、大きくしていくことが必要です。そのため、産業毎に必要な施策に関する中長期戦略を策定した上で、政府・与党が一体となって、政治主導で「本気の新産業育成」に取り組んでいく必要があると考えています。

最近、SNS等において、「日本は30年間成長してこなかった」という投稿を目にすることが多くなりました。日本が何故成長してこなかったのかについては、多くの経済学者が様々な議論を行っており、ここでは深入りしません。ただ、30年間、ずっと同じ原因で成長してこなかったのではなく、主因が時代とともに変化している可能性が高い(例えば、最初の10年間は不良債権問題に手間取り、金融危機と相まって設備投資と消費が低迷した、不良債権問題が解決した2000年代以降は、企業や個人の意識が変化し、労働コスト削減と新規投資の抑制が主流となり、少子高齢化がそうした流れを助長した等)点に留意が必要です。こうした低迷から脱却するための処方箋についてはある程度出尽くしており、あとは政治の実行力にかかっています。松本いずみは、たとえ不人気であろうとも、日本の中長期の成長戦略を本気で断行することこそが、政治の責任だと考えています。そして、私は、ひるまずそうした改革を実行することのできる政治家を目指して参りたいと考えています。